†解放区 牢獄†


御手にて音を...
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[370] 牙のあるオペラ
[作者検索]
word:赤頭巾 2009/1/7 (Wed.)


髪を整えてみる

久方ぶりだ。この感覚
「毛」ではない髪を触る感触

俺様の「形」はこれであってたんだっけか?

..まぁ構いはしない。どのみち覚えてはいないし
昔の形に似せるつもりも無い



死体から服を剥ぎ取る

たった今さっきまで一言二言交わした人間
今は死体


服は嫌いだ
だがこれを身に着けなければ上手く化ける事は不可能だし
都会じゃ良質な服を着てないと女もひっかけれねぇらしい

人間ってのは理解し難い


久々に袖を通す
シャツが毛の無い腕を滑る感覚がどうにもむず痒い


そういえば仮にも狼「男」だった事を思い出す

そうだこんな風に化けられるから「男」なんじゃねぇか

たまにはこの利点を使って遊んでみようと思いついたのさぁ


.............



今まで色んな客に

そうさくだらない客
下品な客
アブナイ客

色んな客に安ビールの銀ジョッキを来る日も来る日も運んでたアタシだけど


その男を見た時には
感じたことの無い震えが来たさね



酒が一番に届くカウンターの場所取りで小競る小汚い無精達とは違うのさ


無言のまま入ってきて何故か店の一番奥に陣取った

ボロい店内の電球はそんな末席まで照らしちゃくれないんだよ?
だのにその男ったら真っ直ぐに最奥の席にまるで沈みこむように不恰好に座り込んで

..なんだいあいつはと思ってよく見たら

素肌にシャツと黒の皮のパンツだけ
この寒冷季にだよ!?信じられるかい!?


男は黙ってアタシを手招きで呼んで...


安ビールを一度に5杯も頼んでそのままアタシの手のひらに直接銀貨を握らせた...

なんていうんだろう...
男の手がアタシに触った瞬間ね..
電気が走ったのさ...女だけが感じる電気だよ

そいつはジワジワあたしを侵して
ついには下を濡れそぼらせた


あの男を見ているだけで震える..
いや震えてしまうから目が合わせられないよ..!

ああヤダ!まだ仕事中だってのに..!
信じられない..!



.....



人間の雄は女の誘惑が下手だ


特に選ばずとも匂いで解る

飢えた雌をその気にさせるなんざ簡単なのに
人間の雄はこれが出来ないってんだお笑いだね


品の無い乳房を揺らしながら銀ジョッキを一度に5杯両手に運ぶその女

まぁこいつでかまわねぇさ
誰だってな
俺様の目的は一つだ

お世辞にもタイプだとは言えねぇ女だが構わねぇ



あの女が近づく度に雄の匂いを放出してやった

反応が手に取るように解る
簡単だ
簡単すぎてこみ上げる笑いを抑えるのがままならねぇ

その結果俺様はきっと牙を出してニヤリと女をねめあげていた事だろう


人間がいつ物に対して金を払うのかすっかり忘れちまってたから
女の手に直接銀貨を押し付けた

女が小刻みに跳ねる

簡単だ



最後に今までずっと伏せていた顔を上げて

女の目を見た

獲物を見つけた時と全く同じ視線でな
より大きく口が裂けて牙が下唇に当たるのを感じる


そのまま舌なめずり


女は気をやったみたいな..くくっ馬鹿な顔して突っ立ってやがる


俺のケモノ臭い息を間近で嗅がせてやった




あえてここで生殺し
寡黙を気取って椅子に腰を下ろし
酒を飲みにきた男を演じた


女はハっと気づいてそそくさと引っ込んだが体からはもう雌の匂いしかしやしねぇ






その後店の裏手で5回ヤった

女は雄牛のように吠えて腰を振った
これじゃどっちが本物の雄か解りゃしねぇ!

ああ笑いが止まんねぇ!


グッグッグ



人間に化けて女を犯すのもたまには楽しい

何故って?








女が俺の正体に気づいた時が最高のエンターテイメント!!!!!







寡黙な男はもうおしまいさ!!

さっきまで喜んでいた女の喘ぎが悲鳴に変わる瞬間がたまらねぇ




アーアーがギャァァァァ




最高のオペラ!!!




始まった瞬間から悲劇な物語もいいが

途中から怒涛の展開を見せる物語も捨てがたいろ!?




なぁ!?


おい!!

そう思わねぇか!!?





...



おや...



もう答える事が出来なくなっちまってるか


こいつぁすまねぇ


気づかなかったぜ


グッグッグッ!




俺様の姿はいつもの形に戻っていて


さすがに騒ぎを聞きつけた人間共が騒ぎ立ててる音が聞こえる


腕に絡まって鬱陶しいシャツの残りを引き裂いて


フレッシュミンチの上に捨ておいた



じゃぁな

あんたなかなかいい味出してたぜ!





たまの娯楽にはこういうのもいい




俺様主演のオペラ劇

自分でいうのもナンだが

久々の割には

いい「人間の演技」

出来てたと思うぜ?




アンタもそう思ったよなぁ?

可愛いフレッシュミンチさん


[369] 溺れる縞馬
[作者検索]
word:ピーターパン 2008/12/11 (Thurs.)


「小僧。お前のやっている事には決して終着点など無いぞ」


リリーが僕をナイフで削る
今回の形は細長くて先端が尖っている物にしてもらった

もう彫る場所が手狭になってきた
僕の体の半分はもうほとんど真っ黒だ
ギザギザ模様のまるで縞馬



僕はこの

「刻み」を待っている間

いつもいつも

悲しくて哀しくてたまらない気持ちに飲み込まれる


リリーが傷を広げて墨を垂らす度に
他の「みんな」がざわめく
「みんな」の形はぐるぐる渦を巻いて
溶け合っては元に戻る


「みんな」怖いのかな..?

おかしな事に僕も怖いんだ

なんでだろうね

新しい「仲間」が増える事が怖いのかな..?

どうしてだろう..



僕の体はジグザグ模様のまるで縞馬



僕がやっている事は

きっと

たぶん

よくない事だ



たぶん たぶんね


リリーは僕のしてる事を注意しないし止めようともしない

只お願いすれば聞いてくれる(機嫌がいいときだけだけど)


でもさっき
僕のやっている事に終わりは無いって言った



...僕は永遠に本当の友達を見つけられないって事..?



嫌だ


そんなの....




「リリー..僕のしている事を..怒ってる..?」




僕はリリーを見る

リリーは僕を見ない


....

僕は目を伏せて聞いた事を後悔する

そしてまた

哀しい気持ちの大波に飲まれる....



「貴様のしている事は罪だとでも私に答えさせたいのか?」



ああ 痛い 痛いよ タイガー・リリー



「罪だと思うなら止めればいい」



ああ 痛い! ひどいよ タイガー・リリー!



僕が

それを

出来ない事を

百も承知なのにそれを言うんだ...!



彼女のナイフが僕を削って 削って 削って

いっそ無くなってしまえばいいのに



でも僕は何度削っても無くならない

新しい「友達」が増えるだけ



僕の本当の友達が欲しい

「痛い」って言ったら「大丈夫?」って言ってくれる友達が欲しい



ほしい
ほしい
本当の友達





「哀れな小僧よ。終わったぞ。目を覚ませ」


痛くてずっと目をつぶっていた僕をタイガー・リリーが揺り起こす


僕のわき腹からは血と墨の新しい模様

触ってみると新しいからすごく痛い


「ミハエル...」


ミハエルは銀の髪と蒼の目をした子
今の彼は細長くて先端の尖った形
新しい友達


「..ありがとうございます....」


リリーにお礼を言う
だけどなんだか元気が出ない
「刻み」の後はいつもこう


リリーもいつものようにこう言う



「次はもう少し間を空けてから来い」


「うん。ありがとう...」



頭を下げて僕は帰る

「刻み」の間邪魔にならないように
木に結んでおいたティンカーベルをまた首輪に戻して

空を飛んで帰る


新しい友達と一緒に

僕は家に帰る




そんな僕の姿はまるで

ギザギザで

ジグザグで

不恰好な縞馬みたい....




...僕はピーターパン

本当の友達を探しています...



[368] three for two
[作者検索] *アップロード画像

word:アリス 2008/11/28 (Fri.)


ボクらは2つが好き

1つより3つより2つが好き


2つなら はんぶんこ 分けられる

3つは はんぶんこ 分けられない


ぼくらは2つが好き


[367] 【R-18】CAUTION!!
[作者検索]
word:アリス 2008/11/27 (Thurs.)

!!CAUTION!!R-18!!
!!完全18歳未満閲覧禁止!!

ご要望がありましたのでお蔵入り絵を修正にて
R-18絵>画像直リンク

http://hystericbambi.fc2web.com/xxximagexxx/R18.jpg


[366] ディーとダム
[作者検索]
word:アリス 2008/11/10 (Mon.)


「ねぇディー。ボクらはいつも一緒だよね」

「もちろんだよダム。ぼくらはいつだって一緒なんだ。きっと死ぬ時もだよ」



「ボクらは一緒じゃなければだめなんだ」
「ぼくらは一緒じゃなければだめなんだ」








「ああディーの手が大好き。顔が好き。ディーが大好き」

「ダムの手が好き!足が好き。ダムが大好き」



いいな
いいな
ふたりが一緒
おんなじっていいな



ぼくらはおんなじ物を半分こして食べ
おんなじ水をすくいあって飲み
おんなじ所で眠るんだ


        意味が無い 
一緒じゃなければ
        意味が無い




..



でも

ボクたちは

違う形をしているところがひとつだけある





これはなんなんだろう

ディーにはなくて

ダムにはあるんだ




いらない
いらない
いらない


二人がおんなじじゃないとヤだ



ボクの足の間にある「ディーには無い物」が大嫌い


きらいきらいきらい



ボクとディーがひとつだけ違うとしたら
きっとこいつのせいだ



こいつがあるせいで



ボクはディーと全くおんなじになる事ができないんだ





..




アレはなんなんだろう

ダムにはあって

ディーにはないんだ





どうして
どうして
どうして


二人がおんなじじゃないとヤだ



ぼくの足の間には「ダムにはある物」が無い



なんで
なんで
なんで



ぼくとダムがひとつだけ違うとしたら
きっとあれが無いせいだ




あれが無いせいで



ぼくはダムと全くおんなじになる事ができないんだ





こんな
こんな

もの
もの


なくなっちゃえばいいのに
なくなっちゃえばいいのに


そうすれば
そうすれば


    おなじ
ふたりは
    おなじ



しあわせ
しあわせ


ダムとおんなじがしあわせ
ディーとおんなじがしあわせ




ぼくらはいつだって二人でひとつなんだもん
ボクらはいつだって二人でひとつなんだもん





................






ある日向こうの森のいじわるな毒ヘビが僕らをみてこう言った




『お前らはいつも「同じだ同じだ」と歌っちゃいるが 同じなのは顔形だけじゃねぇか!

片割れの足の間にある「蛇」を見てみろよ!

それが「同じじゃない証拠」じゃねぇか!全くお笑い草だ!同じだなんて嘘っぱちだ!

けけけけけけけけ!




ああ!!ヘビは大ッ嫌い!
ああ!!ヘビは大ッ嫌い!


イジワルだ!
イジワルだ!



イジワルな毒ヘビはその場で頭を砕いてバラバラに引き裂いてやった
皮と肉を別々に千切って
骨だけは木に吊るしておいた

きっとこのイジワルなヘビの事が嫌いな鳥がそれを見つけて喜ぶんじゃないかなと思ったから




ヘビは大嫌い!!





それでも

ダムの足の間にはヘビがいた



ヘビは大嫌い!!
ヘビは大嫌い!!




ダムのヘビがなくなっちゃえばいいのに!!
ボクのヘビがなくなっちゃえばいいのに!!





ボクらは一緒に泣いて...
同じだけ悲しんだ...







   ああ     
       神様!!!
   ああ






どうして
     ぼく
     ボク
        らは同じじゃないの!!?








...............






イジワルな毒蛇のいた森にボクらはしばらく留まった

毎日泣いていたから

元気が出なかったんだ



毎日二人が同じだったらどんなにいいだろうねってお話ばかりして
毎日二人が一つだったらどんなに幸せだろうねって言って眠った








その森はね

いじわるなヘビと同じ

赤い色をしていたんだよ













................






ある日二人で一緒に目を覚ましたら

ボクらは
ぼくらは




一つになってた
一つになってた






ディーとボクはくっついてて
ダムとぼくはくっついてて






足の間の「ヘビ」はもう居なくなってた






それからボクらはずっとこの森にいる


しばらくして見に行ったら
いじわるなヘビの骨ももう無くなってた







ぼくらは毎日笑顔で眠る
ボクらは毎日笑顔で眠る






ねぇディー
ねぇダム





ふたりでひとつって気持ちがいいね!

ふたりがひとつってなんて素敵なんだろうね!






キャハハ
アハハ




ディーの手が好き足が好き顔が好き体が大好き
ダムの手がが好き足が好き顔が好き体が大好き



死ぬときだって一緒だよ

ディーが死んだらダムも死んで
ダムが死んだらディーも死ぬんだ


キャハハ
アハハ



もうはなれない

もう違うところは無いもん



もうディーとはずっとおんなじ
もうダムとはずっとおんなじ



これがぼくらのしあわせ
これがボクらしあわせ







ボクらはふたりでひとつ



これからもおんなじ

ずっとおんなじ



明日も今日も死ぬ時までいっしょ








   ディーダム
僕らは
   ディーダム







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