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瑞原唯子
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2009/6/27 (Sat.) 08:37:13
ファンタジー小説「遠くの光に踵を上げて」 番外編・明日に咲く花 - 荒波
実習生として研究所に勤め始めたユールベルは、 三日目にして先輩のレイモンドに求婚される。 彼の真意は――。
------------------- 二冊目を戻したそのとき、入口の扉がギィと嫌な軋み音を立てて開いた。ユールベルは書棚の隙間から、息を潜めて窺う。 「やあ、ユールベル」 それはレイモンドだった。書棚越しにユールベルと目が合うと、軽く片手を上げて笑顔を見せる。しかし、ユールベルにはそれがとても恐ろしく感じられた。持っていた本を床に落とし、逃げるように奥へと後ずさる。 「何をしに来たの……?」 「ちょっと婚約者の様子を窺いに来たのさ」 レイモンドはしれっとそんなことを言いながら間を詰める。 「そのことは……断ったはず……」 ユールベルの背中にひやりとした固いものが当たる。壁だった。これ以上、後ろには下がれない。前からはレイモンドが迫ってくる。ユールベルは横に飛び出そうとした。だが、その寸前に両の手首を掴まれ、体を壁に押し付けられる。抗おうとしても、体格と力に圧倒的な差があり、まるで杭を打ち付けられたかのようにびくともしない。 レイモンドは口の端を吊り上げた。 -------------------
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